シリア内戦に繋がるシリアの政治的現代史 Vol.3

こんな人に読んで欲しい

  • シリア内戦って?という人
  • 中東の複雑な政治に興味はあるが…難しい!という人
  • アサド政権ってよく聞くけど何?という人

民族蜂起や内戦、難民などでよく耳にするシリア・アラブ共和国(”シリア”の正式名称です)。そこで現在も少しずつ形は変えつつも収束していないシリア内戦。

内戦の中で反政府勢力の人々が抵抗している相手である政府勢力を指揮しているアサド政権も、この話題に触れる際によく耳にするかと思います。

もちろんシリアには長い歴史がありますが、今回はこの「アサド政権」台頭について、7つのテーマに分けてピンポイントで説明します。

※この記事は、ウェンディ・パールマン著『シリア 震える橋を渡ってー人々は語る』を元に作成しております。

過去の記事はこちらから

シリア内戦に繋がるシリアの政治的現代史 Vol.1

シリア内戦に繋がるシリアの政治的現代史 Vol.2

【第4期: 市民による抗議の鎮圧を試みる政権 vs 政権に対抗する市民】

市民による大規模デモが行われるようになると、アサド大統領は声明を出しました。しかしその内容は、政権が市民へ行った対応の反省や後悔、これから目指すべき社会の方向性を示すなど、市民が求めていたような声明とは正反対のものでした。大統領は声明の中で、政権に対してデモを行う武器を持たない丸腰の市民たちを「テロリスト」や「壊滅させるべき反逆者」と呼び、結果的にそれがさらに市民のデモを過激化させる事態へと発展しました。

欧米諸国やアラブ連合の圧力により、シリア政府は改革を求める市民と公式な対話を設けると同時に、市民がひどく嫌っていた非常事態法を廃止しました。しかし、これに代わり新たにテロ対策法を制定し、デモ活動を行う市民や反政権派の活動家が多く住んでいた村の出身だからなどといった不当な理由で、何万人もの市民を逮捕しました。逮捕された者の多くは拷問され、政権は市民にますます恐怖を植えつけました。

その後も市民一人一人の家に押し入り、強盗や家財の破壊、殺人、強姦を行うなど、アサド政権の行動は日を追うごとに過激度を増していきました。町中にスナイパーを配置させ、人々に外出禁止令を出し、食料や公共機関へのアクセスを遮断しました。

一方で、市民側も政権の弾圧に屈することなく、革命を起こすための組織の形成や、政権側の人権侵害の様子を記録に納めるようになりました。

 

【第5期:政権に対して反乱を起こした市民の武装化】

2011年3月から9月までの半年で、反政権派の市民たちは2000人以上の死者を生みましたが、多くの市民は非暴力を貫きました。しかし、政権側から離反した兵士たちが市民側に流れ込んだ影響で、「自由シリア軍」という組織の名のもとに彼らは武装化を進め、政権の軍事拠点を中心に武力で対抗するようになりました。しかし、インフラが遮断され、知識や武器を含めて様々な者が足りない中、統制をとることはできていませんでした。

この「自由シリア軍」以外にも様々な反政権派の武装集団ができました。その影響により、政権はイスラム主義戦闘員に恩赦を与え、市民団体を「テロ組織」と定義することで彼らの弾圧を正当化しました。2013年3月にはアルカーイダと関係のあった武装組織「ISIS」が台頭し、さらに内戦が複雑化していきました。

また、ひどい内戦を収束させるために、アサド政権を批判する立場から内戦に介入した西側諸国は、反政権派に武器や様々な備品を供給しましたが、これが多数存在していた反政権派のグループ同士の争いを煽ることとなってしまいました。

アサド政権はイラン、ロシア、レバノン、イラクなどから十分な資金や武器、戦闘員などを供給され、市民に対する空爆まで外部の国々によって行われていました。

つまり、内戦をより過激化させた大きな原因は、外部の国々からの介入だったと言えます。

 

→第6部に続く

 

※今回の記事を作成するためにある1冊の本を参考にさせていただきました。今回は序章の部分を参考にさせていただきましたが、それ以外の部分は実際にシリア内戦を経験した数十人の方々の経験談や意見など、「生の声」が書いてあります。ここで感想を書くとまた長くなってしまうので今回は割愛させていただきますが、気になった方は是非【参考文献】を見て、探してみてください!

【参考文献】
Wendy Pearlman “We crossed a bridge and it trembled ~Voices from Syria~” の日本語訳
安田菜津紀, 佐藤慧(訳) ウェンディ・パールマン著,『シリア 震える橋を渡ってー人々は語る』2019年8月23日(第1版) 岩波書店 ISBN: 978-4-00-061357-6

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