essay_中東旅をきっかけにアパレルブランドをつくる話

こんな人に読んで欲しい

  • 海外雑貨が好き
  • おしゃれが好き

 

2019年、9月。谷あいの街を車がぎゅうぎゅうと行き交うヨルダンの首都、アンマンに私はいた。大体の日本人にはきっとゆかりのない国、ヨルダンは中東にある国だけど、東側にイラクとサウジアラビア、北にシリア、西側にレバノンとイスラエルがある。そうと聞くと、テロ組織の活動地域や内戦中の国、厳格なイスラームの国が近くにあるだなんて、きっとあぶない国に違いない、と多くの人は思うんじゃないか。

でも実際に行ってみると、古代ローマの遺跡もあれば高層ビルもあり、それなりに英語が通じて、洋服を着て、ムスリムでもヒジャブをつけない女性もいるし、夕方の礼拝が終わるとみんな街に繰り出してにぎやかで、繁華街なら暗くなっても女の私が出歩ける。子ども連れや若いカップルが街で人気のクナーファ(チーズのスイーツ)屋さんに並んでいる。

ヨルダンには故郷を追われてきたパレスチナ人がたくさんいるし、内戦から逃れてきたシリア人も少なくない。ヨルダンじゅうをまわって、ヨルダンの全てを知っているわけでもない。けど私がその夏に訪れたヨルダンは、日本で語られがちな「中東」のイメージとは違っていた。

こういうことがあって感じるようになったのは、人はじぶんの知らない物事に恐怖を抱きがちな生きもので、よくわからなくて怖いから、攻撃したり、避けたり、誤っていてもなにかしらのイメージを当てはめて理解したふりをする。ということ。そしてそのイメージは大体、後進的だとか、野蛮だとか、ネガティブなもの(とってもエドワード・サイードの受売りです)。だから世界のいいとこを探して、伝えて、世界のポジティブな見方をもっと増やしたい。

大好きな海外の雑貨やら民族衣装を日本で売ってみたい、という夢はずっとあったけれど、こんな思考を経て「世界には確かに改善されるべき悪い部分もたくさんある。けど同じぐらい良いところもきっとある。」ということをたくさんの人に届けられるアパレル、雑貨のブランドを作りたいと思ったのだった。

 

世界のいいとこさがし=「いいとこドコ?」をコンセプトに、

「世界の伝統的なデザインを日常に組み込む」ブランド、KUMIKO。

 

いま販売しているのは、ヨルダンでたくさん見かけることのできる、パレスチナ民族衣装のドレスに緻密に施された「パレスチナ刺繍」をアレンジした耳飾りや髪飾り、栞。

日本では、イスラエル建国後に祖国を離れた人々(パレスチナ人)のエンパワメントと結びつけられた形でパレスチナ刺繍のことを知る機会が多い。でもパレスチナ刺繍のことでもっと知られてほしいと思うのは、別のところ。

パレスチナ刺繍のモチーフは、パレスチナの女性たちが日々の暮らしに身近なモノや出来事、動植物や、歴史、伝承や信仰に基づく表象が元になってデザインされている。

新しいモチーフが生まれるとき、刺繍する人は、自分が面白いと思った身の回りのモノや出来事を刺繍にする。周りの女性がその刺繍を真似して広がっていくと、地域共通のモチーフになる。

そして次の世代がそれらを伝統的なものとして受け継いで、結婚すると嫁ぎ先の地域のモチーフを学び、故郷のモチーフと組み合わせ、また新たな刺繍を生み出していく。

 

日々の暮らしの中にちいさな面白さを見つけて、

刺繍として残していく。

 

KUMIKOを通してパレスチナ刺繍を知ってもらえることがあれば、そんな遊びゴコロを楽しんでほしいなと思う。遠いパレスチナの誰かの遊び心で、だれかの毎日が明るくなりますように。

KUMIKO ONLINESTORE(下URL参照)で販売中の刺繍の耳飾り

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KUMIKO
https://kumiko.shopselect.net/

Writer : もりやまりさ(KUMIKO代表)

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