「募金つきオンラインシアター UNHCR WILL2LIVE Cinema 2020」感想

こんな人に読んでほしい!

  • 中東・難民に興味のある人
  • 映画が好きな人

こんにちは!あらきです。

 

なんとなく自粛ムードが続いている今、夏休みに何かすることないかな…と思っていると、何やら面白そうなイベントに巡り合いました!「募金付きオンラインシアターUNHCR WII2LIVE Chinema 2020」です。私は個人的にドキュメンタリーが大好きで、映画もドキュメンタリー映画を良く見ています。そんな私にピッタリなイベントでした。

イベントの詳細はこちら

募金つきオンラインシアター UNHCR WILL2LIVE Cinema 2020

このイベントは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とユナイテッドピープルが主催する「映画祭」です。難民に焦点を当てたドキュメンタリー映画6作品を、期間内に何度でも繰り返し視聴できるシステムになっています。

 今年の視聴期間はもうすでに終わってしまいましたが(2020年の視聴期間は6月20日から8月31日まででした)、改名以前の「UNHCR難民映画祭」は2006年から継続して行われているイベントですので、是非来年度の視聴をおすすめします!

料金は以下の3つから選択することが可能でした。

  1. 2,000円(作品視聴料)
  2. 3,000円(作品視聴料2,000円+難民のための匿名募金1,000円)
  3. 5,000(作品視聴料2,000円+難民のための匿名募金3,000円)

 

ここからは、今年上映された6作品のうち、特に中東に関連のある3作品についてのあらすじを、感想を交えながらお伝えします!

ミッドナイトトラベラー

監督:ハッサン・ファジリ

制作年:2019年

 

【あらすじ】

 この映画は、3台のスマートフォンで撮影された実話です。

監督であるハッサン・ファジリがタリバンを非難する内容の映画を製作したことから死刑宣告を受け、逃亡するために中東各国を転々と「旅」します。

家族構成は映画監督である夫婦とその娘たち。

家族の「旅」の記録は、家族の故郷であるアフガニスタンではなく、一度逃れたタジキスタンから始まります。難民の避難斡旋業者からのぼったくりや逮捕を乗り越え、最後には…家族の旅は、難民である限り終わりません。

 

【感想】

本当の生活をカメラで撮り続けることで、その時々の家族の心境や感情、そして難民の生活の実状がリアルに映し出されているところがこの映画の見どころだと思います。また、国によって、地域住民の難民に対する対応がこれほどまでに違うのか、という場面にも衝撃を受けました。

「旅」の後半では、なぜ家族が不法入国ではなく、難民キャンプで生活するのか、その葛藤や感情などが赤裸々に映し出されています。

また、映像を撮っている人がもともと映画監督という表現者であることから生じる、自身の生活を作品にする葛藤なども描かれています。

注目するポイントは受け取り手によって異なると思いますが、様々な着目点があるドキュメンタリー映画だったと思います。

 

ソニータ(SONITA)

監督:ロクサレ・ガエム・マガミ

制作年:2015年

 

【あらすじ】

 舞台はイラン・テヘラン。

アフガニスタンから家族バラバラになって逃れてきた少女ソニータは、テヘランの路上生活保護センターで就労支援や勉強面での支援を受けながら、姉とその子供と共にイランで暮らしています。

 彼女の夢は大勢の前でライブを行うことですが、当時はイランで女性が歌うことは禁止されていました。

また、多くの女性(特にアフガニスタン出身の少女)は、男性から支払われる高い結納金目的で望まない結婚を家族に強要されることが伝統とされています。

ソニータはこれに対して納得していなかったのです。

そんなある日、自身の結婚資金のためにソニータをアフガニスタンに連れて帰り結婚させたがっている兄と、それに賛同する母親から説得を受け、半強制的にアフガニスタンに連れて返されてしまう状況まで追い込まれます。

 

【感想】

私はある意味女性の立場が男性よりも低いことが伝統的に正当化されてきた国での女性の扱いに関して、甘く考えすぎていました。

現在のイランの法律は分かりませんが、少なくともたった5年前までは女性は歌うことも禁止されていたのです。

法律的に守られていない、むしろ卑下されて、権利が剥奪されている女性は、未だに多くいます。日本のようにルール上では可能であっても、社会の風潮として差別が抜けない国と、ルール的に男性と同じように行動することが禁止されている国とでは、解決すべき手段も根本的な問題も異なるように思います。

このような現状は、ジェンダーギャップ指数が低いと言われているような日本でも、しっかりと知られるべき現状で、そんな日本人だからこそ感じられることがあると思います。

 

ナディアの誓い(On her shoulders)

監督:アレクサンドリア・ボンバッハ

制作年:2018年

 

【あらすじ】

※ネタバレが含まれていますので、見たくない方はブラウザバックをお願いします。

このドキュメンタリー映画は、2018年にノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラドの活動記です。

彼女はヤジディ派唯一の希望として、同胞のためにISISを国際刑事裁判所に提訴するための活動を続けています。

2014年8月

ヤジディ派という長年迫害されてきた少数民族に対して、ISISが破壊・壊滅を宣言しました。

ヤジディ派の住む村に多くのISIS兵士がなだれ込み、男性・老女は殺害され、9歳以上の女性は性奴隷、あるいは兵士と結婚させられるために連れ去られる状況になりました。

ヤジディ教徒はその宗教が理由で迫害され、殺され、故郷を離れざるを得ない状況に陥りました。

カナダで歓迎されている場面で、ナディアが「世界のここは平和なのに、イラクでは皆が理由なく不幸である」という場面が印象的です。

作品を通して、ナディアの笑わず、常に何かを心配して謙遜する姿は、彼女もISISの暴力の被害者であることを改めて突き付けられ、そのような映像において公開されていないような悲劇が実際に起こったことを物語っています。

それと同時に、難民として欧州で受け入れられたとしても、結局は受入国で虐殺と同じような目にあうこと、そして、このままではヤジディ派が絶滅してしまうことを、多くの当事者が懸念している姿が見られます。

国連総会のオープニングにおいて、「世界に国境はなく、あるのは人道だけ」という表現を用いて、ヤジディ派に対する人道的支援を世界に求める表現をしました。

ナディアの出身地であるシンジャール村は解放されましたが、今からその土地がどのようになるのかはだれもわかりません。

また、ヤジディの村へのISISによる被害を調査することを国連は2017年に約束しました。

まだまだ問題は何も解決しておらず、スタートラインに立つことを国連が約束したところで映画は終わります。

 

【感想】

自分は国際協力や中東問題に興味があると思っていたわりに、「ヤジディ派」という言葉すら知りませんでした。

ナディアの、自らを傷つけながらも同胞のために被害の状況を世界中に伝える行為は、ある意味彼女自身を救っているようにも見えました。誰かから必要とされ、自分も傷つくことによって、彼女は犠牲になった、そして今も苦しんでいる同胞の力になりたいと思っているのです。

彼女がノーベル平和賞を受賞したことは私も知っていましたが、そこから先、自ら深堀りしたことが無かったので、自分を見直す良い機会にもなりました。

この映画を見ることによって、また、UNHCRの主催するこのようなプロジェクトによって、より多くの人が地球上に蔓延る問題を凝視し、考えてほしいと思います。

Related Post

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA